先日バズっていたベグレリのShorts動画のコメント欄にて、「ベグレリなんてモノを全然知らず、Wikipediaで見てみたけど…」みたいなコメントがあった。Wikipediaはインターネット上の百科事典。知名度もドメインパワーも強く、知らないことがある時はWikipediaを見てみるという人も多いのだろう。
Wikipediaには、日本語の「ベグレリ」というページがある。その内容を引用してみると、、、
ベグレリ(英語: begleri、ギリシア語: μπεγλέρι)は、短い紐とその両端にある、ビーズと呼ばれる重しで構成されるスキルトイ。指に絡めて回転させるなどといったトリックを習得して遊ぶ。ギリシャ発祥で、ロザリオまたはコンボロイが派生したとされる。コンボロイの紐は輪状で、ビーズが数珠のように十数個通されているのに対し、ベグレリの紐は輪状に結ばれておらず、ビーズが紐の両端に対になって通されているのが特徴。 ベグレリのビーズには半貴石や金属など様々な素材が使われており、形も多種多様である。打楽器であるアサラトに似た形状の物も多いが、ベグレリは指で動かすため、大きさはアサラトに比べるとかなり小さい。(Wikipedia「ベグレリ」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%AAより2024/5/12引用)
このように説明されていた。
一方、Wikipediaでけん玉やヨーヨー、ディアボロなど他のスキルトイを見てみると、歴史や技、大会についての記述もあった。これらと比較すると、Wikipediaのベグレリページは非常に情報量の少ないものであるように感じた。
ということで、ここでは、Wikipediaのベグレリのページを編集することを想定したうえで、どのようなことを書くべきかについて考える。
書きたい内容
歴史
やはりスキルトイを知る以上、その道具の簡単な歴史について記述すべきであろう。ただ、ベグレリの歴史について日本語でまとめた論文は(現在のところ)見つけられていない。日本にはベグレリプレイヤーが少ないこと、ベグレリ認知度が低いことを鑑みると、おそらく今までベグレリの日本語論文は存在しなかったと考えられる。よって、ベグレリの歴史について記述するためには、海外の文献を参考にする必要がある。しかし、現在のところ、信頼の置ける論文などによってベグレリの歴史について書いている(海外の)論文は見つけられていない。。。
実は、Wikipediaのベグレリページには、英語版が存在する。英語版では、日本語版の内容に加え、「Modern revival」、「In popular culture」という項が追加され、ベグレリの歴史・ベグレリの素材・大衆文化におけるベグレリ、などについて記述されている。
よって、とりあえずのところは、英語版を日本語訳し、それをもってベグレリの歴史の記述に充てるということでいいとしよう。(実際英語版ページの引用元を見るに、信用に足る情報かどうかは微妙であるが…)
種類
ベグレリには様々な種類がある。形、材質などが異なるベグレリが数多く存在する。
これについて、Wikipedia英語版ページでは次のようにまとめている。
Due to the nature of play, begleri have shifted from traditional ornate beads to simpler performance-oriented beads. Two common begleri types are monkey-fist “beads”, made from paracord, and solid beads, which can be made of metal (aluminum, steel, titanium), acrylic resin, Delrin, Ultem, or wood. Monkey-fist begleri are commonly made by people beginning to practice “slinging”, the common term for begleri manipulation; solid type beads are becoming more and more common, and companies develop new geometries of beads based on feedback from consumers.(Wikipedia「begleri」https://en.wikipedia.org/wiki/Begleriより2024/5/13引用)
深入りしすぎることなく、コンパクトに上手くまとめていると思う。よって、ベグレリの種類についても英語版ページの翻訳をもって代えるとしたい。
技
ベグレリがスキルトイである以上、基本的な技についての記述はあってほしいと思う。実際、けん玉やディアボロのWikipediaページでも、基本的な技が紹介されている。
しかし、ベグレリには、まず(どの指の間に挟むかという)グリップという概念が存在する。その上で技が存在するという2段構えの構造となっている。
技を言葉で表現するためには「ローグリップの2フィンガーロール」、「ハイグリップのウィーブ」などという表現をするのである。
つまり、技の説明をするためには、まずグリップの概念を記述する必要があろう。
グリップについて書いた後に、基本的な技の名前をいくつかピックアップして紹介したい。ベグレリの基本的な技として、以下を選択してみた。
- 2フィンガーラップ
- 1フィンガーラップ
- スリップ
- ウィーブ
- ギャップトランスファー
- ロール
技の説明については、技を言葉で完璧に説明するのは無理であると考え、最初から諦めて非常に簡潔に記述するに留めた。(技名が掲載されていることに意味があると思うので)
大会・イベント
ベグレリの大会としてはSlingSlamとSingleGripOpenを紹介し、イベントとしてFebruleri を紹介する。それぞれについて簡単な説明も追加する。
その他
どこかに、ベグレリのプレイヤーをスリンガーと呼ぶ、ということを記述したい。また、現在のページのベグレリの画像は現代のベグレリからはかけ離れたものであるため、現代的なベグレリの画像を追加したいと思う。
以上のことを踏まえて、Wikipediaに日本語でベグレリ記事を書くなら…というのを考えてみた。以下がその案である。
Wikipediaベグレリページ案
ベグレリ(英語: begleri、ギリシア語: μπεγλέρι)は、短い紐とその両端にある、ビーズと呼ばれる重しで構成されるスキルトイ。指に絡めて回転させるなどといったトリックを習得して遊ぶ。ギリシャ発祥で、ロザリオまたはコンボロイが派生したとされる。コンボロイの紐は輪状で、ビーズが数珠のように十数個通されているのに対し、ベグレリの紐は輪状に結ばれておらず、ビーズが紐の両端に対になって通されているのが特徴。 ベグレリのビーズには様々な素材が使われており、形も多種多様である。打楽器であるアサラトに似た形状の物も多いが、ベグレリは指で動かすため、大きさはアサラトに比べるとかなり小さい。
(現在のページのうち、素材の具体例を省略した)
スリング・スリンガー
ベグレリを行うこと、ベグレリで遊ぶことを「スリング」(英語:sling)と呼ぶ。また、ベグレリのプレイヤーのことを「スリンガー」(英語:slinger)と呼ぶ。
歴史
ベグレリは、ギリシャのマンガ文化や、(1960年代まで人気があった)レベティコスタイルの音楽と繋がりがあった。近年ベグレリは、スキルトイや毎日持ち運ぶアイテムとして、ギリシャ国外で人気が高まっている。この人気の高まりにより、素材、形、デザインの様々なベグレリが生まれた。コレクターやスキルトイ愛好家の間で人気が高まった時期は、少なくとも2010年代初頭、趣味のサイトの人気が高まった頃にさかのぼる。オンラインフォーラムやソーシャルメディアで人気が高まるにつれて、さまざまなプレイスタイルが登場し始めた。さまざまなプレイスタイルが開発され、その多くは比較的長い紐のベグレリでしかできないものであった。愛好家の間では、これをロングゲームと呼ぶ。
遊びとしての性質上、ベグレリは伝統的な装飾品としてのビーズから、シンプルなパフォーマンス志向のビーズへと変化していった。一般に、ベグレリには2つのタイプがある。一つは、パラコードで作られた「モンキーフィストビーズ」である。もう一つは、金属(アルミニウム、スチール、チタン)やアクリル樹脂、デルリン、ウルテムなどの素材によって作られる「ソリッドビーズ」である。
モンキーフィストビーズはベグレリをスリングし始めた人がよく作る。
現在ではソリッドビーズが一般的になっており、企業は客からのフィードバックに基づいて新しい形状のベグレリを開発している。
(基本的には英語版Wikipediaを翻訳。ただし、現在ソリッドビーズの方が圧倒的に普及している状況にあると考え、ソリッドビーズが現在一般的になっている旨を記述した。)
技について
グリップ
ベグレリにはグリップという概念が存在する。グリップとは、ビーズをどの指の間で挟むかということを表現するものである。どの指で挟むかによってグリップに名称がついている。
使用する指 | グリップ名 | 英数字による記述 |
---|---|---|
親指と人差指 | トップグリップ | T1 |
人差し指と中指 | ハイグリップ | 12 |
中指と薬指 | ミッドグリップ | 23 |
薬指と小指 | ローグリップ | 34 |
小指と手のひら | ボトムグリップ | P4 |
(英数字による記述では、親指をT、人差し指を1、中指を2、薬指を3、小指を4、手のひらをPとする。)
なお、基本的にベグレリを指で挟むときには、ビーズが手のひら側に来るようにグリップする。ビーズが手の甲側に来るように挟む形は「フェイキー」と呼ばれる。英数字による表記の際、フェイキーはグリップ名に「’」をつけて表記する。例えば、フェイキーハイグリップは「12’」となる
基本的な技
2フィンガーラップ
グリップしている2本の指に、紐を巻き付ける。
1フィンガーラップ
任意の1本の指に紐を巻き付ける。
スリップ
指を折り曲げ、ビーズを回転させる。
ウィーブ
手の甲側を一度通し、もとに戻る。
ギャップトランスファー
任意の2本の指でビーズをつまみ、ビーズを回転させ、グリップしているビーズを入れ替える。
ロール
ビーズを振り、指の周りに紐を巻き付け、反対側のビーズをキャッチする。
大会・イベント
SlingSlam
SlingSlamとは、毎年夏に行われるベグレリの動画コンテストである。例年、参加者が提出した30秒以内の動画を、動画の美しさ・技術の高さ・芸術性などの観点から評価し、上位3名を表彰する。
SingleGripOpen
SingleGripOpenとは、毎年冬に行われるベグレリの動画コンテストである。大会の流れは基本的にSlingSlamと同様だが、グリップを一つしか使用してはいけない(グリップ遷移禁止)というルールが追加される。
Februleri
Februleriとは、毎年2月に行われるベグレリイベントである。世界中のスリンガーが、2月中に毎日、もしくは最低でも1つのベグレリを行う動画をSNSに投稿するというチャレンジを行う。Februleriは誰かが主催しているわけではなく、賞品などもない自主的なチャレンジであり、動画の投稿頻度を高め、技のレパートリーを更新していくことを目的としている。
外部リンク
Aroundsquare News
Begleri Tricks
いかがだろうか?
個人的には、現状のWikipediaのベグレリページと比べると、かなり充実した内容になっているのではないかと思う。
もし何か修正案やご意見等があれば、SNSのDMなどでお気軽にお伝えいただけると嬉しい。自分もよりよい記述方法を思いつき次第こちらの記事に反映させたいと思う。
気が向いたらWikipediaの編集方法などについても調べてみようかな。もしやる気が起きたらWikipediaのベグレリページの編集にチャレンジしたいと思う。